研修内容

太田記念病院臨床研修について

臨床研修管理委員会 委員長長野 拓郎(臨床研修プログラム責任者)

「当院のある太田市は群馬県東毛地区にある人口約22万人の工業都市です。そして、当院は太田市最大の総合病院であり、市民病院のないこの地域での中心的施設となっています。したがって、各科ともcommon diseaseから専門的治療を必要とする疾患をバランスよく経験することができます。各科とも救急患者が多く、年間約5,900台の救急車を受け入れており、研修医が内科や小児科を中心としたプライマリケアーを学ぶのに非常によい環境であると思います。さらに循環器内科、外科、脳神経外科、整形外科、泌尿器科などの専門的治療のレベルも高く、多くの手術症例もあります。また、若年人口の割合が比較的高く、小児救急医療の需要が非常に多い地域です。
また研修医の様々の相談に応じ、私も直接意見を聞いて研修医の意見はなるべく反映するようにしております。
当院は慶應大学、群馬大学、東邦大学、東海大学、等様々な出身医師で成り立っていますが、各科の連携がうまくいっており、どの大学出身の研修医にとっても研修しやすい環境であると思います。2年間の研修終了後、引き続き当院で後期研修を希望する場合は、原則として受け入れる予定です。
熱意のある皆さんの応募をお待ちしています」

長野 拓郎

太田記念病院臨床研修プログラム

臨床研修の理念

医師としての人格を涵養し、将来専門性とする分野にかかわらず、医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ、一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるよう、基本的な臨床能力(態度、技能、知識)を身につける。

基本方針
  1. 思いやりの心を持って患者さまおよびその家族に向き合い、人間として信頼される人格・素養を身につける。
  2. チーム医療の一員としての役割を理解し、他職種と協調して診療することができるコミュニケーション能力を身につける。
  3. プライマリケアおよび救急医療に必要な基本的診療能力(態度・知識・技能)を習得する。
  4. 安全で安心な医療を行うため、医療安全管理の方策を理解し習得する。
  5. 地域医療の現場を経験し、その役割を理解し実践できる医師を目指す。
臨床研修病院としての役割

群馬県太田市における中核病院として、質の高い医療を患者さまに提供するとともに、日本の医療福祉に貢献できる人材を養成します。

臨床研修病院としての
機能について
  1. 太田記念病院は、基幹型臨床研修病院として臨床研修医(以下「研修医」という)を採用するほか、協力型臨床研修病院として、当院が病院群に含まれる基幹型臨床研修病院より要請があった時には研修医を受け入れる。
  2. 基幹型臨床研修病院として、臨床研修管理委員会において、臨床研修指定病院としての在り方やプログラムの見直しを定期的に実施する。見直しの方法としては、各科指導責任者、研修医、看護指導者、医療技術指導者から広く意見を聞き、臨床研修管理委員会において議論する。
プログラムの特色と目標
≪特色≫

本プログラムではプライマリケアを身に付けるため、基本研修科をまずローテートし基本的医療知識・医療技術・チーム医療などの基本的診療能力を習得します。
さらに2年次には選択研修の期間が40週間(10ヶ月)設けてあり、研修医本人の希望に添えるようにしています。当院は小児救急を含め救急患者が多く、数多くの救急症例を経験できます。

≪目標≫

「人間性豊かな臨床の実践」を目指す。いわゆるプライマリケアを行うための基本的な知識と技術を習得すると共に患者様とのコミュニケーションを大切にする意識を養成する。また各専門科の基本的な知識も学び、それらの知識を統合し、あたたかい思いやりの心を持った全人的な疾患を持つ人の見方を習得し、実践できる医師の養成を目標としています。

研修課程

研修期間2年間の
ローテート方式
基本ローテート(順不同)
4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
1年次 24週 12週 4週 4週 4週
内科 救急科 外科 産婦人科 小児科
2年次 4週 4週 40週
精神科 地域医療 選択科目
  • 地域医療研修は2年次に行う
  • 一般外来(4週間)を行う診療科…小児科、地域医療研修にて並行研修を行います。
研修内容の概要
  • 内科研修24週
    (循環器・消化器・呼吸器・脳神経・腎臓から選択)
  • 救急科研修12週
  • 外科4週
  • 小児科4週
  • 産婦人科4週
  • 精神科4週
    ※三枚橋病院にて研修
  • 地域医療4週
    ※伊江村立診療所、川田クリニック、あい太田クリニック
  • 選択科目40週
    内科(循環器・消化器・呼吸器・脳神経・腎臓)
    外科(消化器・小児・心臓血管・呼吸器)
    救急科・小児科・産婦人科・精神科・地域医療
    泌尿器科・脳神経外科・整形外科・形成外科・耳鼻咽喉科・眼科・皮膚科
    放射線科・病理診断科・健診科・保健医療行政
    ※保健・医療行政は太田保健福祉事務所にて研修
研修開始日 4月1日(入職オリエンテーションを含む)
研修場所 当院、三枚橋病院、東邦病院、群馬県立がんセンター、日高病院、群馬大学医学部附属病院、川田クリニック、伊江村立診療所(沖縄県)、あい太田クリニック、藤井レディースクリニック、太田保健福祉事務所
研修評価 研修医による自己評価結果、指導医評価結果、指導責任者評価結果をもとに研修管理委員会が総合評価をします。(EPOCを使用します)
研修修了後の進路

研修医の希望により次の進路がある。

  1. 当院に引き続き勤務し専門研修を行う
    (内科・救急科・麻酔科)
  2. 大学病院あるいは他施設への勤務
    【専門研修連携施設】
    ◆当院が連携施設となっている各施設のプログラムです。
    基幹施設名 基本領域名
    慶應義塾大学病院 小児科・産婦人科・外科・整形外科・形成外科・総合診療科
    群馬大学医学部附属病院 救急科・内科・脳神経外科・皮膚科・眼科・臨床検査・病理
    前橋赤十字病院 救急科・麻酔科・内科
    東邦大学医療センター 大橋病院 内科
    東邦大学医療センター 大森病院 内科
    東海大学医学部付属病院 救急科
    亀田総合病院 外科
    北里大学病院 内科・外科
    杏林大学医学部附属病院 産婦人科
    小張総合病院 麻酔科
    獨協医科大学病院 病理・内科
    東京慈恵会医科大学附属病院 耳鼻咽喉科・泌尿器科
    東京慈恵会医科大学附属 柏病院 耳鼻咽喉科・泌尿器科
    羽生総合病院 総合診療科(救急科)
    埼玉メディカルセンター 整形外科
    日高病院 内科
    埼玉医科大学 内科
    海老名総合病院 救急科
  3. 大学院への進学
  4. 過去3年間の進路
    • 太田記念病院 内科(循環器・消化器)
    • 太田記念病院 救急科
    • 慶應義塾大学病院 小児科
    • 慶應義塾大学病院 整形外科
    • 慶應義塾大学病院 産婦人科
    • 慶應義塾大学病院 内科(消化器)
    • 慶應義塾大学病院 外科
    • 慶應義塾大学病院 形成外科
    • 群馬大学医学部附属病院 内科(循環器)
    • 群馬大学医学部附属病院 麻酔科
    • 群馬大学医学部附属病院 整形外科
    • 東京慈恵会医科大学付属病院 泌尿器科
    • 順天堂大学付属病院 内科(呼吸器)
    • 松戸市立総合医療センター 小児科

その他の進路についても臨床研修管理委員会に相談し、研修医が自ら選択する。

研修内容

研修病院タイプ 基幹型臨床研修病院
臨床研修プログラム 太田記念病院臨床研修プログラム
(030965031)※2022・2023年度入職
(030965051)※2024年度入職
  1. 様式10(臨床研修病院年次報告書)
  2. 様式10別表(病院群の構成等)
  3. 様式10別紙1(研修管理委員会名簿)
  4. 様式10別紙2(患者数・研修医数)
  5. 様式10別紙3(プログラム概要)
  6. 様式10別紙4(指導医名簿)
研修協力病院
三枚橋病院
医療法人社団三思会東邦病院
群馬県立がんセンター
医療法人社団日高会 日高病院
群馬大学医学部附属病院
研修協力施設
群馬県太田保健福祉事務所
川田クリニック
伊江村立診療所
医療法人あい友会 あい太田クリニック
医療法人藤優会 藤井レディースクリニック

各科研修内容

内科

概要説明

内科は臓器別診療体制をとっている。しかし、専門領域にとらわれることなく、内科全般の基礎知識の修得、幅広い臨床経験とともに、自ら学ぶ態度、データを収集・整理して統合する能力および総合的に問題を解決しうる能力を育てることを目標にしている。内科は他の専門分科の土台であることから、内科研修ではその後臨床医として成長するために必要な基盤を構築することが重要である。したがって、病棟では、指導医とともに豊富な症例数と様々な種類の疾患を経験する。また、カンファレンス、症例検討会、などに参加し、貴重な症例を受け持った場合には内科学会地方会等で症例報告を行う。プライマリケアの研修にも積極的に取り組み、幅広い診察技術を身につけ、さらに、患者や家族に全人的にアプローチできる感性の高い医師を育成すべく指導している。

内科

一般目標(臨床医としての基礎を形成することに重点をおいて)

  1. 適切な医師患者関係の構築の仕方を学ぶ。
  2. 医療チームのメンバーとして他の医師、看護師、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、栄養士、ソーシャルワーカーなどと協力して患者のケアにあたれるように経験を積む。
  3. 正しい医療面接法、全身にわたる基本的な身体診察法を修得する。
  4. 病態と臨床経過を把握し、医療面接と身体診察から得られた情報をもとに必要な血液検査、尿検査を自ら計画・実行し、結果を解釈できる。
  5. 検査の適応が判断でき、単純X線検査、心電図、CT検査、MRI検査、内視鏡検査、超音波検査、神経生理学的検査などの施行計画と結果の解釈ができる。
  6. 基本的診療手技(注射法、採血法、穿刺法、気道確保、胃管の挿入)の適応を決定し、実施できる。
  7. 救命救急の基本的手技としての人工呼吸、心マッサージ、気管内挿管、電気的除細動などを経験する。
  8. 基本的治療法の適応を決定し、適切に実施することができる。
  9. 薬物の作用、副作用、相互作用を理解し、適切な薬物治療(抗菌薬、副腎皮質ステロド薬、解熱薬、麻薬を含む)を実施する。
  10. POS(Problem Oriented System)に基づく診療録の書き方、紹介状や診断書作成方法を身につける。
  11. 症例プレゼンテーションの方法を学ぶ。
小児科

概要説明

小児科の診療内容は、血液、呼吸器・アレルギー、感染免疫、消化器、循環器、神経、内分泌、腎臓、新生児と、小児の内科全域および周産期・新生児の医療まで多岐にわたる。研修では、小児及び小児科診療の特性を学び、経験し、基本的な診察・処置等を自ら実践できることを目標とする。即ち、複数の指導医の下で入院患者を数名受け持ち、患児・家族関係の構築、診察手技、診療基本手技(新生児・乳幼児の採血、血管確保、注射等)、カルテの記載、カンファレンス・回診での症例呈示、検査結果の評価、検査・治療計画作成等を行う。
また、小児の一次救急を担当できる様に、救急疾患、薬用量、補液量、検査基準値等、年齢により異なる必須知識を習得する。研修の指導は小児科学会認定医により行われる。

小児科

一般目標

  1. 小児ことに乳幼児への接触、親(保護者)から診断に必要な情報を的確に聴取し、病状を説明でき、患者と両親の心理的サポートができる。
  2. 小児の正常発達・発育及び一般的疾患の知識を習得し、異常のスクリーニングができる。
  3. 成長の各段階により異なる薬用量、補液量の知識を習得する。
  4. 小児期の一般検査の意義を理解し、実施し、結果の判定ができる。
  5. 小児科治療に必要な基本的手技を習得する。
  6. 小児の救急疾患のプライマリーケアを習得し、重症度の判断ができる。
  7. 小児保健と小児栄養の基本を理解し、指導ができる。
  8. 思春期の心理や虐待といった心理社会的側面への配慮ができる。
産婦人科

概要説明

思春期、成熟期、更年期の生理的、肉体的、精神的変化は女性特有のものである。女性の加齢と性周期に伴うホルモン環境の変化を理解するとともに、それらの失調に起因する諸々の疾患に対する系統的診断と治療を研修する。また、これらの女性特有の疾患を有する患者を全人的に理解し対応する態度を学ぶことはリプロダクティブヘルスへの配慮、女性のQOL向上を目指したヘルスケアといった21世紀の医療に対する社会の要請に応えるもので、すべての医師にとって必要なことである。

一般目標

  1. 女性診療の特性を学び、女性疾患の初歩的な診察・治療が自ら実践できることを目標とする。
  2. 産科領域:妊娠反応薬や超音波診断による妊娠成立の判定ができ、さらに、妊娠初期の正常妊娠と流産、子宮外妊娠、胞状奇胎などの異常妊娠との鑑別ができる。正常妊娠経過および正常分娩経過を理解し正常分娩介助を体験する。正常産褥の経過を理解する。超音波診断や胎児心拍数モニタリングによる胎児管理を行う。帝王切開術の助手の体験、周術期管理を行う。
    婦人科領域:下腹部および骨盤内臓器疾患の診断のための触診、双合診ができる。
  3. 卵巣腫瘍茎捻転や卵巣出血など婦人科急性腹症の診断と初期対応ができる。婦人科開腹手術や腹腔鏡下手術の助手を体験し、周術期管理を行う。子宮頚がんのスクリーニング検査ができる。
精神科

概要説明

患者を生物・社会・倫理的にとらえる基本的姿勢を身につけるために、患者の持つ問題を身体面のみならず、精神面からも理解する。さらに、精神科の診断・治療にかかわるだけでなく、医療場面における患者・家族・スタッフの心理と行動の問題への理解と対応を身につけることは、すべての医師にとって不可欠なことと思われる。それらの知識・態度・技能を習得することを目標とする。

一般目標

  1. 基本的な面接法を修得する。
  2. 精神症状の捉え方の基本を身につける。
  3. 児童期から老年期の各ライフステージでみられる精神疾患に関する基本的知識を身につける。
  4. 精神症状に対する初期的対応と知識の実際を学ぶ。
  5. 一般科で対応が可能か、精神科専門医に紹介すべきかの判断力を身につける。
  6. 自殺企図患者への基本的な対応を学ぶ。
  7. 簡単な精神療法の技法を学ぶ。
  8. 心身相関についての理解を深める。
地域医療

概要説明

地域医療を必要とする患者及びその家族に対し、全人的に対応するために、診療所の役割と地域医療連携を理解し、問題解決力臨床技能・態度を身につける。

一般目標

  1. 患者の病歴(主訴、現病歴、既往歴、家族歴、生活・職業 等)の聴取と記録ができる。
  2. 患者、家族のニーズを身体・心理・社会的側面から把握できる。
  3. 患者・家族への適切な指示指導ができる。
  4. 医師、患者・家族がともに納得できる医療を行なうためのインフォームド・コンセントの実施ができる。
  5. 守秘義務の遵守と、プライバシーへの配慮ができる。
  6. 医療保険、公費負担医療を理解し、適切に診療できる。
  7. 医の倫理、生命倫理について理解し、適切に行動できる。

研修スケジュール

基本的に各診療所の診療業務をメインとし、適時往診等を行う修期間は1月とする。

麻酔科

概要説明

麻酔科蘇生科の主な診療業務は麻酔と手術を受ける患者の全身管理と疼痛治療であるが、大きな手術を受けた患者の術後管理、重症患者の集中治療、難治性疼痛患者のペインクリニックと幅広い。手術を受ける患者の評価にあたっては、手術対象となる疾患ばかりでなく、合併症に関する幅広い知識が要求される。麻酔管理では、秒単位で変化する患者の呼吸・循環状態に即応するための的確な診断・処置能力が養われる。

一般目標

  1. 手術を受ける患者の麻酔管理を通じて、呼吸補助、循環管理、疼痛治療などを主体とした麻酔と集中治療・救急医療の基本手技を修得する。
  2. 術前診察では、各種疾患の病態を正確に把握し、麻酔管理上の問題点を指摘できる思考を身につける。
  3. 麻酔管理では、患者のバイタルサインの把握、各種モニター手技の習得(心電図、パルス オキシメーター、カプノメーター、心エコー、筋弛緩モニター等)、必要な諸検査(動脈血ガス分析、血液生化学検査、単純X線撮影)の実施、気道確保及び呼吸管理(マスク換気法や気管挿管手技などによる人工呼吸手技)、輸液・輸血の実施、基本的麻酔薬及び心血管作動薬の使用法などを研修する。
  4. 大きな手術を受けた患者の術後管理、重症患者の全身管理を集中治療部で研修する。
  5. 緊急対応の多い麻酔科業務の中で、注射薬の誤投与や輸血事故などの医療事故防止にも力を入れているのでその基本手技を習得する。
整形外科

概要説明

整形外科の主な診療業務は四肢の骨・関節と脊椎、脊髄を含めた運動器疾患の治療である。ギプスに代表される保存療法から骨折、脱臼の整復固定の手術療法や人工関節を含めた関節形成術まで幅広い治療を行う。扱う疾患は、スポーツや交通事故そして高齢化に伴う骨折などの外傷、そして高齢化社会を反映した脊椎や各関節の変性疾患、さらに初期治療の重要な感染症疾患が含まれる。さらに、全身疾患として、関節リウマチに代表される炎症疾患や骨肉腫等の肉腫病変が含まれ、運動器に愁訴を持つ患者に対する治療には系統だった幅広い知識が要求される。複数の疾患の患者を受け持ち、診断から手術に参加することにより、運動器としての関節や骨、筋肉や腱の機能の重要性を学ぶ。

一般目標

  1. 入院および外来診療を通じて、骨・関節・筋肉系の診察手技を修得する。
  2. 基本的な血液検査能力、およびX線検査やCT検査、MRI検査等の画像診断能力を修得する。
  3. 受け持ち患者の診察および外来診療を通じて、ギプスや装具などの外固定手技を修得する。
  4. 救急外傷患者の診察を通じて、骨折や筋肉、関節の重篤な外傷における救命を含めた全身管理、あるいは局所の緊急処置の必要性を修得する。
  5. 手術を受ける患者を受け持つことにより、一般的な全身状態の管理能力、例えばバイタルサインの把握、必要な諸検査(血液検査、心電図、胸部X線像)の実施と、糖尿病や喘息、高血圧等の合併症に対する管理、処置能力を修得し、術中、術後に外科処置の基本手技を修得する。
  6. カンファレンスを通じて、術前診断の整理、表現能力を養い、それを基にして治療計画を作成する能力を修得する。
  7. 診療記録、注射、経口薬の処方、指示箋を指導医が頻繁にチェックして指導することにより、これらの適正な施行能力を養う。これは医療事故防止の基本手技の修得でもあり、重要な点として位置づけている。
脳神経外科

概要説明

脳神経外科の主な診療内容は、脳神経外科疾患に限らず、神経学的症状を呈する様々な患者が対象となる。脳卒中、頭部外傷などの救急疾患、脳血管障害(脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血、脳血管奇形)、脳腫瘍、髄膜炎など多岐にわたる。脳神経外科疾患は全身疾患とも密接に関係し、全身状態の迅速な把握とともに、ベッドサイドでの神経学的、神経放射線学的所見を統合し、的確な診断・治療選択する能力が養われる。

一般目標

  1. 脳神経外科疾患患者を通じ、神経学的所見の取り方、及び病変局在を考える能力を修得する。
  2. 全身状態を的確に把握し、各疾患ごとに診断・治療上に役立てる。
  3. 救急患者を通じ、迅速な診断治療の重要性、その手技を修得する。
  4. 各種の神経放射線学的検査に精通し、その読影につき研修する。
泌尿器科

概要説明

泌尿器科では、小児および成人の腎臓から膀胱・前立腺までの尿路系疾患や男性生殖器疾患を主に扱っている。特に、腎疾患については内科出身の腎疾患専門医師も同一チームで診療にあたっており、腎炎、ネフローゼなどの内科的疾患から、末期慢性腎不全患者の治療としての人工透析療法、そして完全社会復帰を可能とする腎移植療法までの診断治療を行っていることが大きな特徴である。
研修医は、泌尿器科指導医・専門医による泌尿器科疾患の臨床研修ばかりでなく、腎臓内科の専門医師も加わった、腎疾患の総合的な治療、指導体制のもと、内科的、外科的な幅広い臨床研修を受けることができる。

一般目標

一般臨床医としての基本的な診察法をはじめ、緊急を要する患者の初期診療に関する基本的事項、慢性疾患患者や高齢患者の要点、リハビリテーションと在宅医療・社会復帰計画の立案、末期患者の治療管理、患者および家族との人間関係を築くことなどについて十分な能力を身につける。同時にチーム医療を行ううえでの協調性を習慣づけ、指導医や他科、他施設への情報伝達が適切に行えるようにする。その際に必要な診療記録の記載は十分に医療評価が可能なものになるような能力を備えることなどを基本的な研修目標とする。

  1. 身体診察法、採血、点滴などの基本診療技術を習得する。
  2. 膀胱鏡、腎臓・前立腺エコー検査、膀胱造影など泌尿器科特有の検査技術の基礎を習得する。
  3. 血液浄化療法や腎臓移植療法の基礎を習得する。
  4. POS 式の診療録作成方法を習得する.
  5. 診断技術の向上をはかるため、レントゲン診断法、検査所見の判断や検査値結果の見方・解釈を習得する。
  6. 紹介状、外来連絡表、診断書などの医療関係書類の書き方の基礎を習得する。
  7. チーム医療を担う一員としての自覚を持ち、医師として患者さんや患者家族と接する方法を習得する。
耳鼻咽喉科

概要説明

耳鼻咽喉科は頭頸部の様々な感覚器を扱い、その症状はQOLに直結することが多く、患者層も新生児から高齢者まで、男女問わずに幅広い。当院は地域の中核病院として様々な疾患症例が集まり、偏りなく全般的に経験することが可能である。
当科での研修は、耳鼻咽喉科志望医以外に小児科など他科志望医も多いため、研修内容や期間は個々の希望に応じて調整する。

一般目標

  1. 人間が社会生活を有意義に行うのに必要不可欠な感覚(聴覚、音声言語、平衡覚、味覚、嗅覚)の基本的な評価手段と検査の適応および評価判定を習得する。
  2. 耳鼻咽喉科の一般的な救急疾患に対して、迅速かつ適切な処置が行える。
  3. 気道の管理と気道を狭窄する疾患と対処法を習得する。
  4. 気道の感染症・アレルギーについての基本的知識を習得する。
  5. 頭頸部腫瘍の診断法と治療について基本的事項(手術を含む)を習得する。
皮膚科

概要説明

市中病院の皮膚科として日常よく遭遇する皮膚疾患は、湿疹・皮膚炎、皮膚感染症、蕁麻疹、薬疹、熱傷(軽症~中等症)、自己免疫性水疱症、褥瘡、良性皮膚腫瘍などである。これらの疾患を中心に基本的な皮膚科的知識、検査法、治療法を習得することを目標としている。機会は少ないが、専門医や大学病院など高次医療機関へ委ねるべき膠原病や悪性腫瘍などを見逃さないよう指導している。

一般目標

  1. 正しい医療面接法および皮疹の基本的な診方を修得する。
  2. 真菌等の直接鏡検、バッチテスト、光線検査などの皮膚科的検査を学ぶ。
  3. 外用剤の種類と特徴、基本的な使用方法および包帯交換を修得する。
  4. 簡単な皮膚外科学(皮膚切開・縫合・皮膚生検を含む)を修得する。
放射線科(画像診断部)

概要説明

画像診断は、現代の医学では、診断補助ではなく、診断学の中核を形成する分野である。今日でも、単純X線撮影、X線透視造影、X線CTとX線を用いた検査が画像診断の大半を占めるが、MRI、核医学検査、超音波検査などのX線によらない、生体の形態や機能の評価画像も診断学に大きく寄与している。これらのモダリティを適切に用いて、病気をより早く、最小コストで、正確に診断し、患者の利益を計るのみならず、医療経済に貢献することも、21 世紀の医師に求められている。
放射線科研修期間中には、画像診断学の中心をなすエックス線CTを基礎に、MRI、核医学検査を指導医とともに行い、個々の検査の適応と限界を知る。正常像の把握、異常所見の取り方をレポート作成を通して学び、基本的な疾患の診断が行えるように研修する。インターベンショナルラジオロジー(IVR)については、肝細胞癌の治療以外にも救急の要請が多いため、その基本的手技を学び、IVRの有用性と限界を知る。
また、放射線管理、放射線防護についても学び、より安全に放射線を医学に利用する基本についても研修する。
当院は、救急疾患や、一般的な疾患が多く、CT/MRIの読影件数は年間 1 万件以上である。また、放射線診断学部門では放射線専門医修練協力機関として認定されており、放射線科初期研修として適切な症例、指導を提供できる。

一般目標

  1. 各種画像診断法の原理と特徴を把握し、適応と限界を理解する。
  2. X線CT、単純X線、造影X線、MRI、核医学検査(SPECT)について、自ら検査を行い、適切な読影と報告書の作成を行う。
  3. 検査の合併症や造影剤の副作用を理解し、適切に対処できる。
  4. 患者に検査の目的や合併症を正しく説明できる。
  5. 放射線防護の基本を理解する。
  6. CPC、症例検討会に参加し、自らは携わらなかった症例の検査や IVRについて学ぶ。
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